「MLM」「ネットワークビジネス」という言葉、最近よく耳にしますよね。でも、具体的にどんなビジネスなのか、メリット・デメリットなど、詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。
わかりやすく言うと、「MLM」「ネットワークビジネス」はマルチ商法です。誤解されやすいですが、マルチ商法は「違法」ではありません。とは言え、問題が起きやすいビジネスモデルとして、法律で厳しく規制されてます。
この数週間でなんと7人以上の方からお誘いをいただいたのをきっかけに、今回は、そのネットワークビジネス(MLM)について詳しく調べ、自分にとっての立ち位置を考えてみました。
ネットワークビジネス(MLM)とは?
正式名称は、「マルチレベルマーケティング」と言います。広告に頼らずに、口コミで商品やサービスを広めていくビジネスです。自分が商品を買ったら、次は自分が買い手を探す。そして下に買い手が増えるごとに上層部にマージンが入る取引形態となっています。
マルチ商法だと気づかずに参加している人も多いです。
【メリット】
・初期費用が比較的少ない
・自分のペースで仕事ができる
・商品が好きでその魅力を広めていきたい人にはやりがいがある
・成功すれば不労所得を得られる
【デメリット】
・安定した収入を得られるのはかなり難しい
・周囲の信頼を失う可能性が高い
・特定商取引法の規制を受ける可能性がある
・商品やサービスの質のコントロールができず責任が持てない
・必ず人を巻き込むため人間関係が複雑になる可能性が高い
ねずみ講との違いは?
ねずみ講は、商品やサービスの提供を目的とせず、単にお金を増やすことを目的とした違法な行為です。
一方、ネットワークビジネスは、商品やサービスの販売を目的としたビジネスモデルであり、合法ですが、特定商取引法などの法律によって厳しく規制されています。
ネットワークビジネスで成功するのは難しい?
ネットワークビジネスで成功するためには、多くの努力と人脈が必要で、成功できる人はほんとうにごくわずか。
ではなぜ、成功するのが難しいのでしょうか。理由は以下の通りです。
・周囲の信頼を失いやすく成功するために必要な「人脈作り」が難しい
・一次情報やビジネスの本質が学べない
・上層部の収入に依存してしまう
・構造商品やサービスの質にばらつきがある
・法律の規制が厳しく、トラブルに巻き込まれる可能性が高い
以下で詳しく解説します。
周囲の信頼を失いやすく成功するために必要な「人脈作り」が難しい
当然の話しですが、ビジネスは「信頼」がないとうまくいきません。
しかし、ネットワークビジネスは、実際に規制を受けたり被害が報告されることが多く、そもそも社会的信用が低いビジネスモデルなので、頑張って軌道に乗せようとしても、なかなかうまくいかないのが現実です。
–特定商法取引法によるルールを守れない消費者たち
また、特定商法取引法でも定められているように、マルチ商法を行う際には、以下のようなルールを守る必要があります。
・勧誘前に「勧誘目的を伝える」
・勧誘する商品がどんなものか
・自分がその商法でどの立場なのか
・個人名を伝える
・書面交付義務
・クーリングオフ制度の告知
・無理な勧誘はしない
・商品の誇大なPR
しかし実際には、これらのルールを守らずに活動されている方も多いですよね。なぜ、ルールを守らずに活動している人が多いのか。その理由は大きく2つあると思っています。
1つ目は、そもそも自分がマルチ商法をしている自覚がない。
2つ目は、ルールを守ると、勧誘がうまくいかない。
皆さんは「これからマルチ商法の勧誘をします」としっかり相手に伝えて、どのくらいの人が「聞くよ」と言ってくれると思いますか?
おそらく、99%の人から距離を置かれるはず。
だから、直接的にはイメージの悪い「マルチ商法」という言葉は使わずに、ビジネスモデルのみを紹介したり、MLMやネットワークビジネスといった言葉に置き換えているのです。
そのため、自分がマルチ商法をしている自覚がないまま勧誘していたり、気づかずに誘われているケースも少なくありません。
とは言え、勧誘目的を伝えずに勧誘を行った場合は規制対象になります。必ずしも「マルチ商法」という言葉を伝えなければいけないルールはありませんが、ビジネスモデルの説明や勧誘目的を伝えることは必須です。
-ステルスマーケティング規制も始まった
2023年10月1日からは、景品表示法が改正され、ステルスマーケティング規制が開始しているのをご存知ですか?
例えば、インスタグラムやブログ記事などで、ネットワークビジネス(MLM)の製品を紹介する場合は、勧誘や販売に結びつく可能性があるため、ステルスマーケティング規制の対象になります。
そのため、SNSやブログ記事などで発信している方は、必ず「PR表記(「PR」「プロモーション」「広告」「宣伝」のいずれかを明確に表示)」をしましょう。過去の投稿も規制の対象となります。
ルールを守らない人からの勧誘を受けた場合などは、消費者庁に報告しましょう↓↓↓
消費者ホットライン:「188」をダイヤルするだけ
特定商取引法違反被疑情報提供フォーム
参考サイト
消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」doTERRA TIMES「ステルスマーケティング広告の禁止について」
一次情報やビジネスの本質が学べない
ネットワークビジネスでは、上層部やスポンサーから提供される情報に頼りがちになり、客観的な情報を得にくい傾向があります。
上層部が成功体験を強調したり、楽して稼げるといった甘い言葉を使い、参加者を洗脳してしまうケースも少なくありません。
ネットワークビジネスの仕組みやビジネスの本質を深く理解せずに、ただ商品を売ることにばかり目が行ってしまい、長期的な成功に繋がらなくなることがあります。
ビジネスの本質が学べずに、ビジネスをしている気になっているだけで、結局は消費者の一人でしかなかった……という状況のまま、なかなか気付けない人もいます。
上層部の収入に依存してしまう
ネットワークビジネスは、ピラミッド型の組織構造をとっているため、下層部の活動が上層部の収入に直結します。上層部ほど高額な報酬を得られる一方で、下層部はなかなか収入が増えないという不平等な報酬体系が、モチベーション低下の一因となります。
上層部の活動が停滞したり、組織が分裂したりすると、下層部の収入にも影響が及びます。
製品やサービスに責任を持てない
ネットワークビジネスで扱う商品は、必ずしも高品質であるとは限らず、品質にばらつきがある場合があります。ちなみに、たとえ商品が高品質なものであっても、問題になる部分はそこではありません。
商品やサービスに責任を持てないことです。
だって、商品を自分で作っているわけではないですよね?
あなたが会社の社長や専門家でない限り、永遠に商品に対してのコントロールが効かない立場の「消費者」なんです。
商品に100%の責任を持てないのに、どうして大切な人におすすめできるのですか?
もし仮に、その商品が最初は本当に「いいもの」だったとしても、知らぬうちに成分が変わっているかもしれない。周りがいいと言うからいい商品なのか?いい人に見えるあの人が言うから信頼できるのか?
正直この点は、非常に疑問です。
そもそも、本当におすすめなんだろうか。純粋にすすめるのと、お金が発生するから勧めるのでは、意味が全く異なりますよね。
本当に相手のために「いいもの」をすすめたいなら、自分でサービスを作って、責任を持てるカタチのものをすすめていきたい。と個人的には考えます。
法律の規制が厳しく、トラブルに巻き込まれる可能性が高い
ネットワークビジネスは、特定商取引法の規制対象であり、虚偽の説明や誇大広告などが禁止されています。
契約内容や法的な知識が不足している場合、トラブルが発生した際に責任を問われる可能性が高いです。
実際に消費者庁は、ネットワークビジネスに関する相談件数を公表したり、注意喚起をしており、消費者保護に力を入れています。
なんとも……イバラの道ですね。
ネットワークビジネスで成功できる人は他のビジネスでも成功できる
これらのリスクを考えると、「わざわざネットワークビジネスを選ばなくても、他の方法で目標達成できるのではないか」と私は思ってしまうのです。
ネットワークビジネスに全く関わらずに成功している人はたくさんいます。
やるかやらないかはあなたの自由。だけどもし、ネットワークビジネスに興味があるなら、一度立ち止まって考えてみて欲しい。
- なぜネットワークビジネスを始めたいのか?
- 他の選択肢は考えられないか?
- リスクを負う覚悟はあるか?
- 本当に自分のやりたいことなのか?
あなたの将来を左右する大切な決断です。
周りの人に相談したり、専門家の意見を聞いたりすることも大切です。焦らず、じっくりと時間をかけて考えてみてください。
どんな人が誘われやすい?
なぜ私がこんなにお誘いを受けるのか?自分なりに分析してみました笑
- ふわっとしてそう/一見優しそう
→断ることが苦手そうだから勧誘しやすい - 小さい子どもがいるママ
→時間の自由度を求めたり、収入を増やしたいという経済的な理由から、ネットワークビジネスに魅力を感じやすい - 活動的
→人との繋がりが多く、新しいことに挑戦することに抵抗がないため、勧誘を受けやすい - 自分の夢を叶えたいと思っている
→ネットワークビジネスで成功すれば、経済的な自由を得て、自分の夢を叶えられると期待しがち - 在宅で仕事をしたいと思っている
→子育てや家事と両立できる働き方として、ネットワークビジネスに魅力を感じやすい - ちょっとおバカそう
→情報収集が不十分なまま、甘い言葉に騙されやすい傾向がある - スピリチュアルが好き
→自己成長や心の豊かさに関心が高く、ネットワークビジネスが自己実現の手段になると考えがち
第三者的に自分を見るとこんな印象かな?おそらくここに書いたこと全てが誘われやすい要素。当てはまるものがあれば注意!
ネットワークビジネスに誘われて断りたい場合はどうする?
大切な友人や家族にネットワークビジネスに誘われたらどうしますか?断ったら関係が壊れてしまうのではないか……と思ってはっきり言えない方も多いかと思います。
友人との関係性を大切にしつつ、断るためのポイントをいくつかご紹介します。
- 感謝の気持ちを伝える:
まずは、誘ってくれたことに対して感謝の気持ちを伝えましょう。「誘ってくれてありがとう。とても嬉しいよ。」 - 具体的な理由を伝える:
「興味がない」の一言ではなく、「今、別のことに集中したい」「経済的に余裕がない」など、具体的な理由を伝えることで、相手も納得しやすくなります。 - 相手の気持ちを尊重する
相手の熱意も理解した上で、丁重に断ることが大切です。 - 将来のつながりを期待する言葉をかける
「また別の機会に、一緒に何かできたら嬉しいな」など、将来のつながりを期待する言葉をかけることで、関係性が悪化することを防ぎます。 - どうしてもしつこい場合は距離を取る
どうしてもしつこい場合は、しばらく連絡を取らない、共通の友人を通して間接的に伝える、といった方法で距離を取ることも検討しましょう。それでも解決しない場合は、消費者ホットラインや弁護士に相談することも一つの選択肢です。
以上のポイントを押さえてみましょう。
ちなみに、みなさん口を揃えて「説明だけ聞いて、合わなかったらやめればいい」と言いますが、説明会に行ってしまったらますます抜け出しにくくなるのは目に見えてること。関わる気が一切ないのなら、最初の段階できっぱり断りましょう。
ネットワークビジネスに参加するならこれだけは心得ておこう
ネットワークビジネスに参加すると決めたなら、これだけを心得ておきましょう。
・商品やサービスの品質をしっかりと確認する
・無意識に犯罪行為をしていないか常に自分を客観視する
・収入が安定する保証はないことを理解する
・契約内容をしっかりと確認し、不明な点は弁護士などの専門家に相談する
・高額な初期費用を要求される場合は注意する
・無理な勧誘や、儲かるという甘い言葉には惑わされない
特に一番大事なのは、「無意識に犯罪行為をしていないか常に自分を客観視する」こと。これは一番怖いことです。無意識に犯罪に加担してしまうと、あなたが目指したい未来も守りたい子どもたちも、全てを一気に失います。
・特定商取引法など、具体的にどんなことが規制されているのかを学ぶ
・化粧品やアロマ類の場合は、薬機法違反についても知識を深める(「これを塗ったらよくなるor治る」などの言葉を言う)
必ず「第三者的な目線」で学んでくださいね。
参考:薬機法ドットコム「薬機法(薬事法)違反はこれでチェック!薬機法ルール集」
金の切れ目が縁の切れ目
お金は生活を豊かにする上で重要な要素ですが、それが全てではないと私は思っています。
また、最低限ビジネスをしていこうと思うなら、リスクヘッジは必ず取りましょう。まずは正しい情報を取り入れて自分の中で噛み砕くこと。お金の関係だけで繋がっている人を信頼しきらないこと。
最後に本当に信じられるのは、自分だけです。
他人に人生の舵を握らせてはいけません。あなたの人生はあなたのもの。
「金の切れ目が縁の切れ目」
あなたにお金があるうちはちやほやとおだててくる人も、自分にメリットがなくなったと感じたら、途端に手のひらを返したように去ってしまうのが世の習いです。
ネットワークビジネスは、良い悪いで結論づけられるものではありません。ただ、周りを見ていると、この仕組みを理解せずに参加している人が多すぎます。
そして私は、ネットワークビジネスのリスクや仕組みを理解してもやりたいか?と聞かれると、答えは「NO」
やりたい人はやったら良いと思うし、ビジネスそのものは否定しません。
お金を得たけど、友達や家族を失う。と言うのは、とてもとても悲しいこと。だって目指すべきところはそこではないでしょう?
本当に大切な人間関係も自己実現もお金も、バランスよくあってこそ「豊かな人生」
本当に困った時にあなたを助けてくれるのは誰ですか?
お金の関係がなくなっても、その人はあなたを本当に大切にしてくれますか?
※ネットワークビジネスを否定するものではなく、個人的な見解です。