「MLM」「ネットワークビジネス」という言葉、最近よく耳にしますよね。でも、具体的にどんなビジネスなのか、メリット・デメリットなど、詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。
わかりやすく言うと、「MLM」「ネットワークビジネス」はマルチ商法です。誤解されやすいですが、マルチ商法は「違法」ではありません。とは言え、社会的なトラブルを防ぐため、法律によって一定の規制が設けられているビジネスモデルです。
今回は、そのネットワークビジネス(MLM)について詳しく調べ、自分にとっての立ち位置を考えてみました。
※本記事は中立的な視点からの意見であり、ネットワークビジネスを推奨または否定するものではありません。
ネットワークビジネス(MLM)とは?
正式名称は、「マルチレベルマーケティング」と言います。広告に頼らずに、口コミで商品やサービスを広めていくビジネスです。自分が商品を買ったら、次は自分が買い手を探す。そして下に買い手が増えるごとに上層部にマージンが入る取引形態となっています。
【メリット】
・初期費用が比較的少ない
・自分のペースで仕事ができる
・商品が好きでその魅力を広めていきたい人にはやりがいがある
・成功すれば不労所得を得られる
【デメリット】
・安定した収入を得られるのはかなり難しい
・周囲の信頼を失う可能性が高い
・特定商取引法の規制を受ける可能性がある
・商品やサービスの質のコントロールができず責任が持てない
・必ず人を巻き込むため人間関係が複雑になる可能性が高い
ねずみ講との違いは?
ねずみ講は、商品やサービスの提供を目的とせず、単にお金を増やすことを目的とした違法な行為です。
一方、ネットワークビジネスは、商品やサービスの販売を目的としたビジネスモデルであり、合法ですが、特定商取引法などの法律によって厳しく規制されています。
ネットワークビジネスで成功するのは難しい?
ネットワークビジネスで成功するためには、多くの努力と人脈が必要で、成功できる人はほんとうにごくわずかと言われています。
ではなぜ、成功するのが難しいのでしょうか。理由は以下のようなことが考えられます。
・周囲の信頼を失いやすく成功するために必要な「人脈作り」が難しい
・一次情報やビジネスの本質が学べない
・上層部の収入に依存してしまう
・構造商品やサービスの質にばらつきがある
・法律の規制が厳しく、トラブルに巻き込まれる可能性が高い
以下で詳しく解説します。
周囲の信頼を失いやすく成功するために必要な「人脈作り」が難しい
当然の話しですが、どのようなビジネスでも「信頼」がないとうまくいきません。
しかし、ネットワークビジネスは過去に規制やトラブルが報告されることがあったため、社会的なイメージが厳しく見られることがあります。
そのため、事業を軌道に乗せるには、特に誠実さや透明性を重視した信頼構築が求められるのが現状です。
–特定商法取引法に基づくルールとその課題
また、特定商法取引法でも定められているように、マルチ商法を行う際には、以下のようなルールを守る必要があります。
・勧誘前に「勧誘目的を伝える」
・勧誘する商品がどんなものか
・自分がその商法でどの立場なのか
・個人名を伝える
・書面交付義務
・クーリングオフ制度の告知
・無理な勧誘はしない
・商品の誇大なPR
しかし、現実にはこれらが十分に守られていないケースが見られることもあります。その理由は大きく2つあると思っています。
1つ目は、自分がネットワークビジネスをしている自覚が薄い。
2つ目は、ルールを守ると活動が難しいと感じる。
「マルチ商法」という言葉に対しては、世間一般で一定のイメージが定着しているため、直接的に説明することに慎重になる方もいるようです。その結果、勧誘目的を明確にせずに活動したり、別の言葉でビジネスを説明することを選ぶケースがあります。
そのため、マルチ商法をしている自覚がないまま勧誘をしていたり、気づかずに誘われているケースも少なくありません。
とは言え、勧誘目的を伝えずに勧誘を行った場合は規制対象になります。必ずしも「マルチ商法」という言葉を伝えなければいけないルールはありませんが、ビジネスモデルの説明や勧誘目的を伝えることは必須です。
-ステルスマーケティング規制も始まった
2023年10月1日からは、景品表示法が改正され、ステルスマーケティング規制が開始しているのをご存知ですか?
例えば、インスタグラムやブログ記事などで、ネットワークビジネス(MLM)の製品を紹介する場合は、勧誘や販売に結びつく可能性があるため、ステルスマーケティング規制の対象になります。
そのため、SNSやブログ記事などで発信している方は、必ず「PR表記(「PR」「プロモーション」「広告」「宣伝」のいずれかを明確に表示)」をしましょう。過去の投稿も規制の対象となります。
ルールを守らないまま勧誘してしまうと、消費者庁に報告されてしまうこともあります。
消費者ホットライン:「188」をダイヤルするだけ
特定商取引法違反被疑情報提供フォーム
参考サイト
消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」doTERRA TIMES「ステルスマーケティング広告の禁止について」
一次情報やビジネスの本質が学びにくい
ネットワークビジネスでは、上層部やスポンサーから提供される情報に頼りがちになり、客観的な情報を得にくい傾向があります。
上層部が成功体験を強調したり、楽して稼げるといった甘い言葉を使い、参加者を洗脳してしまうケースも少なくありません。
ネットワークビジネスの仕組みやビジネスの本質を深く理解せずに、ただ商品を売ることにばかり目が行ってしまい、長期的な成功に繋がらなくなることがあります。
上層部の収入に依存してしまう可能性が高い
ネットワークビジネスは、ピラミッド型の組織構造をとっているため、下層部の活動が上層部の収入に直結します。上層部ほど高額な報酬を得られる一方で、下層部はなかなか収入が増えないという不平等な報酬体系が、モチベーション低下の一因となります。
上層部の活動が停滞したり、組織が分裂したりすると、下層部の収入にも影響が及びます。
製品やサービスに責任を持てない場合が多い
ネットワークビジネスで扱う商品は、必ずしも高品質であるとは限らず、品質にばらつきがある場合があります。ちなみに、たとえ商品が高品質なものであっても、問題になる部分はそこではありません。
商品やサービスに責任を持てないことです。
商品を自分で作っているわけではないからです。会社の社長や専門家でない限り、商品に対してのコントロールが効かない立場の「消費者」と一緒です。
もし仮に、その商品が最初は本当に「いいもの」だったとしても、知らぬうちに成分が変わっているかもしれない。周りがいいと言うからいい商品なのか?いい人に見えるあの人が言うから信頼できるのか?
純粋にすすめるのと、お金が発生するから勧めるのとでも、意味が全く異なりますよね。
本当に相手のために「いいもの」をすすめたいなら、自分でサービスを作って、責任を持てるカタチのものをすすめていきたい。と個人的には考えます。
法律の規制が厳しく、トラブルに巻き込まれる可能性が高い
ネットワークビジネスは、特定商取引法の規制対象であり、虚偽の説明や誇大広告などが禁止されています。
契約内容や法的な知識が不足している場合、トラブルが発生した際に責任を問われる可能性が高いです。
実際に消費者庁は、ネットワークビジネスに関する相談件数を公表したり、注意喚起をしており、消費者保護に力を入れています
ネットワークビジネスにはポジティブな側面もある!
ネットワークビジネスは、その特性ゆえに誤解されがちですが、ポジティブな側面も多くあります。たとえば、自宅で働ける自由な働き方を実現できる点は大きな魅力です。
特に育児や介護と両立したい方にとって、自分のペースで収入を得られるのは大きなメリットと言えるでしょう。
また、このビジネスを通じて人脈を広げたり、コミュニケーションスキルを磨くことも可能です。さらに、自分が愛用する商品を広めることで、多くの人に役立つ価値を提供する喜びも得られます。
もちろん成功には努力や誠実さが必要ですが、うまく活用すれば自己成長や経済的な自由を手にするチャンスが広がる、魅力的な働き方の一つと言えるでしょう。
私は参加する予定はありませんが、ネットワークビジネスが合っている方にとっては、自己成長や経済的な自由を得る可能性を秘めた選択肢であると言えます。
※本記事は中立的な視点からの意見であり、ネットワークビジネスを推奨または否定するものではありません。
ネットワークビジネスに誘われて断りたい場合はどうする?
大切な友人や家族にネットワークビジネスに誘われたらどうしますか?断ったら関係が壊れてしまうのではないか……と思ってはっきり言えない方も多いかと思います。
友人との関係性を大切にしつつ、断るためのポイントをいくつかご紹介します。
- 感謝の気持ちを伝える
まずは、誘ってくれたことに対して感謝の気持ちを伝えましょう。「誘ってくれてありがとう。とても嬉しいよ。」 - 具体的な理由を伝える
「興味がない」の一言ではなく、「今、別のことに集中したい」「経済的に余裕がない」など、具体的な理由を伝えることで、相手も納得しやすくなります。 - 相手の気持ちを尊重する
相手の熱意も理解した上で、丁重に断ることが大切です。 - 将来のつながりを期待する言葉をかける
「また別の機会に、一緒に何かできたら嬉しいな」など、将来のつながりを期待する言葉をかけることで、関係性が悪化することを防ぎます。 - どうしてもしつこい場合は距離を取る
どうしてもしつこい場合は、しばらく連絡を取らない、共通の友人を通して間接的に伝える、といった方法で距離を取ることも検討しましょう。それでも解決しない場合は、消費者ホットラインや弁護士に相談することも一つの選択肢です。
以上のポイントを押さえてみましょう。
多くの方が、「説明だけ聞いてみて、もし合わなければやめればいい」と勧めてくることがあります。一見、気軽に話を聞けるように思えるかもしれませんが、説明会に参加すると、雰囲気や熱意に流されてしまい、断るのが難しく感じる場合もあるようです。
そのため、自分がそのビジネスに関わる意志が全くない場合は、相手のためにも最初の段階できっぱりとお断りすることも大切です。冷静に自分の立場を考え、慎重に対応することをおすすめします。
ネットワークビジネスに参加するならこれだけは心得ておこう
ネットワークビジネスに参加すると決めたなら、これだけは心得ておくと良いでしょう。
・商品やサービスの品質をしっかりと確認する
・無意識に犯罪行為をしていないか常に自分を客観視する
・収入が安定する保証はないことを理解する
・契約内容をしっかりと確認し、不明な点は弁護士などの専門家に相談する
・高額な初期費用を要求される場合は注意する
・無理な勧誘や、儲かるという甘い言葉には惑わされない
特に一番大事なのは、「無意識に犯罪行為をしていないか常に自分を客観視する」こと。これは一番怖いことです。法律やルールを知らないまま行動すると、予期せぬ問題に直面する可能性があります。
・特定商取引法など、具体的にどんなことが規制されているのかを学ぶ
・化粧品やアロマ類の場合は、薬機法違反についても知識を深める(「これを塗ったらよくなるor治る」などの言葉を言う)
必ず「第三者的な目線」で学んでくださいね。
参考:薬機法ドットコム「薬機法(薬事法)違反はこれでチェック!薬機法ルール集」
ビジネスにはリスクヘッジが必須!
ビジネスを始める際には、リスクを見極め、適切に対処することが大切です。「簡単に稼げる」仕事があると考えているのなら、まだ幻想のうちの可能性があります。
正確な情報を収集し、自分が納得できる形で理解することが成功への第一歩です。さらに、お金だけを基盤とした関係性には慎重な姿勢を持つことも重要です。
最終的に自分の人生を支えるのは「自分自身」です。人生の方向性を他人に委ねるのではなく、自ら考え、決断していくことが求められます。
「金の切れ目が縁の切れ目」という言葉があるように、お金が絡む関係性には注意が必要です。ネットワークビジネスに限らず、ビジネス全般で同じことが言えます。
ネットワークビジネスそのものを否定するものではありません。ただし、その仕組みやリスクを正しく理解しないまま参加すると、予期せぬ結果を招く可能性があります。自分の価値観や目標に照らし合わせて判断することが大切です。
やり方や考え方を誤ると、収益が得られないだけでなく、周囲との関係に影響を与える場合もあります。こうした事態は避けたいものです。
ビジネスで本当に大切なのは、お金だけでなく、良好な人間関係や自己実現、安定した生活を含めたトータルバランスです。自由な働き方や収益を目指すのであれば、仕組みを冷静に分析し、計画的に行動することが求められます。
また、自由な働き方を目指す手段はネットワークビジネスに限りません。私自身は、ネットワークビジネスには参加せずに自由な働き方が実現できていますし、収入の柱や将来的な設計もできています。
あなたの「夢」を叶える方法には多くの選択肢がある
ことを忘れないでください。それぞれにメリット・デメリットがあるため、論理的な思考で自分に合った方法を慎重に選びましょう。
※これは中立的な視点からの意見であり、ネットワークビジネスを推奨または否定するものではありません。